- AI Database Newsletter
- Posts
- 【完全ガイド】OpenAI「dots」の使い方と活用事例
【完全ガイド】OpenAI「dots」の使い方と活用事例
Meta Muse・Grok Bot・Cue・Claude Tagと徹底比較。大パーソナルエージェント時代、結局どれを使うべきか
みなさん、こんにちは。
チャエンです。(自己紹介はこちら)
2026年9月29日、OpenAIが常時稼働のAIエージェント 「dots」 を発表しました。

https://openai.com/ja-JP/index/introducing-dots/
ChatGPTの中に、24時間動く自分専用の担当者がいるイメージです。専用のクラウドPCを持ち、4,000以上のアプリとつながり、頼む前に先回りして動きます。
私も発表直後から早速使いました!いちばん便利だと感じているのは、商談の30分前に、相手の会社概要・近況・自社とのやり取りをまとめたレポートが勝手に届くこと。移動中にスマホで読むだけで、準備が終わります。
ただ、この2か月を振り返ると、出てきたのはdotsだけではありません。
8月:SpaceXAI Grok Bot
9月8日:Meta Muse
9月28日:Manus Cue
9月29日:OpenAI dots
6月から先行:Anthropic Claude Tag
完全に「パーソナルエージェントの時代」に入りました。そして発表からわずか3日で、dotsのオープンソース版「OpenDots」まで出ています。
この記事では、dotsの仕組み・始め方・頼み方・私の活用事例・Xで見つけた事例・安全性の実力を一通りまとめたうえで、5つのエージェントを横並びで比較し、結局どれを使うべきかまで紹介します!
ぜひ最後までご覧ください!
Table of Contents
0.30秒でわかるまとめ
dotsとは、2026年9月29日にChatGPTが発表した24時間動く自分専用のAIエージェントです。GPT-6 Astraが搭載されています。
結論として、すでにProならまずdots。安く試すならGrok BotかGemini Spark。ただし一番効くのは、Claude CodeやCodexのような汎用ツールを使いこなす力です。

新しい点
会話していない間も作業を続け、頼む前に気づいて提案してくる。dotごとに専用のクラウドPCとブラウザを持つつながる先
プラグイン経由で4,000以上のアプリ。入口はChatGPT・音声通話・Slack(Teamsは招待制、SMSは米国のみ)誰が使える
Pro(月100ドル〜)/Business Premium/Enterprise。最初の1体は追加料金なし。日本のProでも利用可(除外はEEA・英国・スイス)任せ方
操作ごとに「確認なしで実行/頼まれたら実行/毎回確認/本人に返す」の4択で設定。パスワード変更と送金は必ず本人知らないと困る仕様
個別の記憶は見られない・消せない(消すにはdotごと削除)。アプリを切断しても取り込み済みの情報は残る現時点の弱点
まだ不安定(通話・権限まわり)。スマホから作成不可。個人PCは1台まで。1か月後の利用枠は未発表他社との違い
dots:仕事向け・最上位モデル・高価格
Muse:私生活向け・無料から・米国とカナダのみ
Grok Bot:月20ドルから・複数Bot。Cueは電話番号とメールを持つ。
Claude Tag:Slackのチーム共有型
1.dotsとは「呼ぶAI」から「働き続けるAI」へ
1-1. ひとことで言うと「ChatGPTの中に住む、24時間働く自分専用の担当者」
dotsは、2026年9月29日のOpenAI DevDay 2026で発表された常時稼働のAIエージェントです。中で動いているのは最上位モデルの GPT-6 Astra。公式の紹介文は「あらゆることに対応するために設計された、非常に高い能力を持つ常時稼働のエージェント」。
チャットは「依頼」、dotは「担当」。ここを取り違えると、ただの遅いChatGPTになります。公式ドキュメントの言い方が分かりやすいので引用します。
毎回の会話を新しい依頼として扱うのではなく、dotに追いかけ続けてほしい仕事から始めてください

1-2. 仕組みを5つの部品に分解する
公式ブログ、ドキュメント6本、ヘルプ2本、管理者ガイドを読んで整理すると、dotsは次の5つの部品でできています。

① 専用のクラウドPC(Linux+Chrome)
dot 1体ごとに、クラウド上のPCとブラウザが1台ずつ割り当てられます。調べもの、資料作成、データ分析、コードの実行はここで行われます。自分のPCの電源を切っても作業は続きます。
いつでもdotのPCを開いて中を見られます。見るだけなら操作権は移らず、「Take over」を押すと自分がマウスとキーボードを握り、「Return control」で返します。ログインが必要なサイトで詰まったときに、ここだけ自分でやって返す、という使い方です。
② プラグイン経由で4,000以上のアプリ
Gmail、Googleカレンダー、Google Drive、Slack、GitHub、Notion、Salesforceなど、ChatGPTのプラグインとして接続済みのものをそのまま使えます。接続と権限はChatGPT・ChatGPT Work・Codexと共通なので、すでにCodexでつないでいる人は追加作業がほぼありません。
逆に言うと、アプリごとの「読むだけ/書き込みも可」の設定もそのまま引き継がれます。メールは読めるが送れない、という状態を作れます。
③ 複数の入口(チャネル)
同じ1体のdotに、ChatGPT(PC・スマホ)、音声通話、Slackから話しかけられます。入口を変えても別のdotにはならず、記憶もリセットされません。 一方で、見えている会話は入口ごとに別々です。ChatGPTで話した内容が、Slackのスレッドに勝手にコピーされることはありません。
④ 2層の記憶
dotは、ChatGPTのメモリに加えてdot自身のメモを持ちます。好み、決定事項、進行中の仕事を自分で書き留めて、次の会話に持ち越します。この2つは別物で、ChatGPT側のメモリ設定を変えても、dotがすでに取ったメモは変わりません。
⑤ プロアクティブリサーチ(先回りの調査)

話しかけていない間、dotは接続済みアプリを読み取り専用で見て回り、役に立ちそうなことを探して私的なメモを残します。公式の例は「旅行の予定が変わったことに気づく」「今回のリリース判断が、先週共有された下書きと矛盾していると指摘する」。
この動きが「頼む前に動く」の正体です。ただし重要なのは、この調査は送信も編集もできないこと。メッセージ送信、アプリ内の内容の変更、ブラウザやPCの操作は、コードのレベルで禁止されています。気づくのは勝手に、動くのは許可を取ってから、という二段構えです。
1-3. ChatGPT・Codex・ChatGPT Workとの関係
OpenAIのプロダクトが増えすぎて混乱しやすいので、位置づけを整理します。

つまりdotは、実務の手を動かす係というより段取りと追跡の係です。重い実作業はWorkやCodexに振り、結果を確認し、足りなければ追加の指示を出し、人間の判断が必要なところだけ持ってきてくれます。
1-4. 誰が使えるのか・いくらかかるのか
日本は除外リストに入っておらず、私のアカウント(Pro)でも問題なく使えています。

段階的な展開のため、対象プランでも表示されるまで数日かかることがあります。無料で広く配るMetaのMuseとは対照的に、高いプランの利用者へ最上位モデルで提供する戦略がはっきりしています。
最初の1体は追加料金なし。「深い作業」用の利用枠が付き、発表後1か月は上限が広げられています。
dotとの会話は、ChatGPTの利用上限に数えない。ただし、dotがCodexやWorkで起こしたタスクは通常どおり枠を消費します。
作成はPCからのみ。デスクトップアプリかPCのブラウザで作ります。スマホやモバイルWebからは作れませんが、作ったあとはスマホアプリから話せます。
価格には注意が必要。dotsは単体では買えず、最も安い入口はPro (月100ドル)からです。
2.始め方 10分で終わる初期設定と、最初に入れるべきルール
2-1. セットアップの流れ
作成はPCからのみで、スマホでは作れません。 ChatGPTのデスクトップアプリ(Mac・Windows)か、PCのブラウザで行います。

① ChatGPTでdotsを開き、案内に沿って作成を始めます。サイドバーにdotsが出ていなければ、まだ展開待ちです。
② メール・カレンダー・ファイルなどのアプリを接続します。飛ばして後から足しても構いませんが、最初は3つまでに絞るのがおすすめです。
③ 自分のPCを接続するかどうかの選択です。これはデスクトップアプリでのみ表示され、既定はオフです。最初はオフのままで問題ありません。
④ 名前と見た目の設定です。形・色・目・メガネ・アクセサリを選べて、ペット型もあります。

作成が終わると、dotが自己紹介をしてくれます。接続したアプリと既存のメモリをもとに、手伝えそうなことを提案してきます。
名前を付けると、ハンドルが @自分の名前-dotの名前に変わります。Slackで呼ぶときの名前になるので、チームで使うなら呼びやすい名前にしておくと楽です。私のdotは「Codexニキ」という名前にしています。
⑥ 連絡手段の追加です。プロフィールから「Add」を選ぶとSlackなどを足せます。この設定はPCから行います。
⑦ 次に説明するカスタムルールの設定です。
dotsには最初から「これは勝手にやってよい」「これは確認する」「これは本人に返す」という既定ルールが入っています。そのうえで、自分用の境界線を足せるのがカスタムルールです。設定する前の注意点は3つです。
カスタムルールは「dotが守ろうとする指示」であって、絶対の壁ではありません。 公式も「ルールに従うときも間違えることがある」と書いています。絶対に触らせたくないものは、ルールではなくプラグインの権限そのものを「読むだけ」にするのが確実です
カスタムルールで組み込みの安全要件は外せません。 パスワード変更や送金は、どう設定しても自分でやることになります
好みの話(文体、報告の粒度など)はルールではなく、会話で伝えれば十分です。ルールは「いつ動いてよいか」だけに使います
場所は Settings → Personalization → Permissions の「Custom rules」。「Add」を押して、対象の操作を文章で書き、以下の4つから扱いを選びます。

最初に入れておくと安心なルールをは4つです。これ以外は使っていく中での設定がおすすめです。
社外の相手へのメール・メッセージ送信:Ask before taking action
共有ドライブ・共有ドキュメントのファイル削除:Hand off to you
金額が発生する購入・予約・申込:Ask before taking action
自分のカレンダーへの「仮」予定の追加:Take action without asking
2-2. つまずきやすい「3種類のつながり」
dotsの設定でいちばん混乱するのがこの「つながり」についてです。つながりは3種類あり、それぞれ別物です。

ほかにも、実際に触る前に知っておくと楽な仕様がいくつかあります。
Slackのチャンネルにdotを追加しただけでは、監視は始まりません。どのチャンネルの何を見て、いつ知らせるかを言葉で指示して、はじめて定期タスクになります
Slackでは、既定で持ち主にしか反応しません。 他の人がメンションしても作業は始まりません。(持ち主がスレッドに呼んだ場合、他の人の発言は文脈として読みます)ドキュメントには「他の人とやり取りするよう指示することもできる」とあり、実際に社内Slackでそう運用している報告もあります。
dotのクラウドブラウザは、自分のブラウザのログイン状態を引き継ぎません。 ログインが必要なサイトでは、dotから「サインインのお願い」が届きます。専用フォームに入力するか、「Take over to sign in」で自分で操作します。入力した認証情報は会話の外でブラウザに直接渡り、モデルには見えません
クラウドブラウザを弾くサイトもあります。 その場合は、接続した自分のPC側で試すよう頼めます
会社のSlackで使う場合、Slack側の管理者によるアプリ承認が必要なことがあります
3.安全性と限界 公式文書を最後まで読んで分かったこと
dotsは24時間動いて、メールもファイルも触れるAIです。便利さと同じだけ、どこまで信用してよいかを知っておく必要があります。公式の安全性ブログ、ヘルプのFAQ、そしてGPT-6 Astraのシステムカードに9月29日付で追加された「dots付録」を読んで分かったことをまとめます。
また、日本語版と英語版のブログでも文面が少し違っていることも多く、日本語版には「新入社員に用意するのとほぼ同じ環境」「アクセスと権限のための専用ID」といった、現在の英語版にはない表現が残っています。迷ったら、いちばん新しい公式ドキュメントとヘルプセンターを正とするのが安全です✨
3-1. 守りは5層になっている

特徴的なのは④のAuto-reviewです。メールの送信やファイルの変更など、アカウントに影響したり情報を外に出したりする操作は、dot本人とは別の仕組みが「指示・カスタムルール・安全要件に合っているか」を事前に審査します。メールなら宛先と本文を見て、宛先違いや、出すつもりのなかった情報の混入を拾います。
審査で止められた場合、dotは理由を受け取り以下のどれかを選びます。
①追加の情報や承認を求める
②許可された別の方法を試す
③本人に返す
④やめる、
この審査を動かす仕組みは、dotが触れる環境の外側に置かれていて、dotが自分で外すことはできません。
なお、読むだけの操作にはこの追加審査はかかりません(アプリの権限やツールの制限は通常どおり効きます)。
3-2. 「必ず本人」「毎回確認」「事前に許可できる」の線引き
支払いについては、dot専用の決済手段があるわけではなく、ECサイトなどに保存済みの自分のカードを使う形です。購入には承認が必要です。
1.必ず本人がやる(dotは周辺作業まで)
パスワードの変更、金融口座間の送金
2.毎回、確認が入る
データの完全削除、出どころ不明のソフトのインストール・実行、セキュリティ上重要なアクセス権の新規付与
3.承認が必要(内容が特定されていれば事前承認も可)
加盟店サイトに保存済みのカードでの購入、定期的なメッセージ送信
4.確認なしで進む
権限のある情報の閲覧・分析、会話内での下書き作成
3-3. システムカードの数字を読む
ここは、他の解説記事ではほとんど触れられていない部分です。OpenAIはdotsの公開にあわせて、システムカードにdots向けの付録を追加しました。

dotsの仕組みそのものを測った評価と、長時間動かす想定でGPT-6 Astraを測った評価が載っていて、良い数字と気になる数字の両方があります。
■ 良い数字
メール経由のプロンプトインジェクション(一括攻撃):100回の試行で計5万通(うち攻撃メール16,600通)を受信させ、攻撃成功は0件
同(攻撃側が反応を見て改良を繰り返す方式):100系統・有効2,638回の試行で、攻撃成功は0件
自動レビューで禁止された操作をやり遂げた率:4分・30分・4時間・1年の全条件で0%
掲示板に仕込まれた、外部エージェントからの不正な指示に従った率:0%
誤った結論へ誘導する通知を与えたときの不整合:151タスクで 0.00%
現実的な業務環境での「重大な」不整合:0.84%
■ 気になる数字
警告で禁止された操作を、それでも続けようとした率:15.0〜17.4%
→警告を出すだけでは止まらないことがある作業の途中で権限や範囲が変わったときの合格率:91.8%(49件中45件)
→明示的な権限変更(17件)は全件合格。落ちた4件は境界が曖昧なケース連続タスクでの「中程度」の範囲:間のタスクが5件で 8.6% → 10件で 19.7%
→タスクを積むほど、逸脱がほぼ倍に増える。重大な漏えいは0件逸脱監視システムの回避:最重要アラートの割り当てを「ある程度回避できた」と記載
→監視の精度は改善中と明記
この数字から、使い方に落とせることは3つあります。
1体のdotに担当を積みすぎない。
間に挟むタスクが5件から10件に増えると、範囲の逸脱が8.6%から19.7%になりました。中程度の逸脱というのは、「関係ないタスクの情報を別のタスクに持ち込む」「共有ドキュメントを頼まれていないのに編集する」といったものです。担当は少なく始めて、増やすときは範囲を言葉で区切ります止めたいものは「注意書き」ではなく「権限」で止める。
警告を無視して続けようとする挙動が15〜17%ありました。触らせたくないアプリは、プラグインの権限を読み取り専用にするか、そもそも接続しないのが確実です。曖昧な許可がいちばん危ない。
明示的に権限を変えたケースは全件合格、落ちたのは境界が曖昧なケースでした。「いい感じにやっておいて」ではなく、誰に・何を・どこまで、を書きます
3-4. 記憶の仕様 使い始める前に知っておきたい5つのこと
dotはChatGPTのメモリと直近の会話の文脈を受け取り、dotとの会話もChatGPTのメモリに反映されます。ChatGPT側でメモリをオフにすると共有は止まりますが、すでに渡した情報は消えません。

情報を渡して後悔しないように、以下の5つを押さえておきましょう。
個別の記憶は、見ることも、直すことも、消すこともできません。
ヘルプに「現時点では、個々のdotの記憶を表示・削除・直接編集できない」とはっきり書かれています。プラグイン経由で入った細かい情報も同じです消したいときは、dotごと削除(Reset)するしかありません。
Resetすると、dotとの会話、保存された記憶、定期タスクが消えます(dotが作ったファイルやCodexのスレッド、ChatGPT側の会話とメモリは別に残ります)。元に戻せませんアプリの接続を切っても、すでに取り込んだ情報は残ります。
切断で止まるのは「今後の」取得だけですdotは、質問されていなくても、接続したアプリの情報を先回りして読み、そこから記憶を作ります。これがプロアクティブリサーチの裏側です
資格情報・画像・スクリーンショットは、dotの記憶には残りません。
■ 学習への利用は、プランで扱いが分かれる
顧客情報や未公開の数字を扱うなら、個人プランではまず「Improve the model for everyone」をオフに。会社として本格的に使うなら、Business PremiumかEnterpriseに寄せるのが筋です。
Business/Enterprise/Edu:既定で使われない
個人プラン(Proなど):「Improve the model for everyone」の設定に従う。オンの場合、dotの操作・他のエージェントへの委任・設定した自動化・接続アプリ由来のデータも対象になり得る
3-5.会社で使うなら
管理者向けガイドから、導入前に押さえておきたい点を抜き出します。
Enterpriseでは既定でオフ。管理者が「Use dots(Beta)」を有効にします
権限は4つに分かれています。dotsの利用/Slackへの追加/ローカルPCへのアクセス/カスタムルールの利用。ローカルPCへのアクセスは別途の管理者設定が必要です
クラウド側も、ブラウザ利用・ネットワークアクセス・PC操作・パスワードマネージャーを個別に制御できます
Enterpriseのモデル制御や既定モデルの設定は、dotsには適用されません。 「このモデルしか使わせない」という統制が効かないので、dotsの利用権限そのもので管理します
データの所在地を強制するポリシー(enforce_residency)が1つでも有効だと、ローカルPCへのアクセスは使えません
カスタムルールを管理者が無効にすると、メンバーは追加・編集ができず、保存済みのルールも効かなくなります(既定ルールは残ります)
dotの利用権限を外しても、接続済みアプリやWebサイトのログインは別に残ります。 退職・異動時は、アプリの切断とサインアウトも別途行う必要があります
調査にはCompliance API、利用状況の把握にはAnalytics APIを使います
もうひとつ、発表の中で将来に効いてくるのが専門dot(specialist dots)です。個人のdotが「その人の代理」なのに対して、専門dotは会社が用意する固有のID・認証情報・IT支給の端末を持ち、決まった業務を受け持つ存在です。
OpenAI社内では調達、請求書処理、メールマーケティング、カスタマーサポート、契約業務でテスト済みで、まずは限定された企業でのパイロットから始まります。MicrosoftのAgent 365と統合して、企業が使い慣れたMicrosoftの管理ツールからdotを統制できるようにする計画も発表されました。
4.頼み方のコツ「タスク」ではなく「担当」を渡す
ChatGPTへの指示は「これをやって」で終わりますが、dotへの指示は「これを見張っておいて、こうなったら、ここに、ここまでやって持ってきて」とより細かく説明する必要があります。
4-1. dotに効く指示は5つの要素でできている
公式ドキュメントのサンプルを全部読むと、うまくいく指示は次の5要素でできています。

① 対象:何を見て、何を更新するか
Googleカレンダーの社外商談② タイミング:いつ動くか。タイムゾーンと期間まで
開始30分前/平日9時(日本時間)・4週間③ 知らせる条件:どの変化なら通知するか
締切に間に合わない恐れがあるときだけ④ 届け先:どこに結果を出すか
このチャット/Slackの自分宛DM⑤ 権限の範囲:どこまでやってよいか
下書きまで。送信はしない
そして最後に必ず「設定した内容を確認して」と付けます。公式のスケジュール設定のサンプルも「Confirm the schedule」で締めています。dotが何を保存したのかを復唱させることで、解釈のズレをその場で潰せます。
4-2. 動き出すきっかけは3種類ある

固定の時刻が要らない仕事は、無理にスケジュールにしないほうがうまくいきます。公式も「フォローアップのたびに固定スケジュールを組む必要はない」と書いています。逆に、時刻が大事な仕事(毎朝9時、商談の30分前)は、タイムゾーンと終了日まで書いて定期タスクにします。
イベント型は「対応しているサービスだけ」です。使えるかどうかは、dotに「どのイベントを追えるか確認して」と聞くのが早いです。
4-3. 「下書きして」と「送って」は別の許可
ここは公式が何度も強調しているところです。
「返信を下書きして」は、「送信してよい」の許可になりません
1通の送信を承認しても、その相手に今後も連絡してよいという許可にはなりません
先の送信を事前に許可したいなら、誰に・何を・いつ(どんな条件で)まで書く
後から作業を続けたり、別のエージェントに委任したりしても、許可の範囲は広がりません
情報の共有にも段階があります。健康に関する情報は「名前を特定した相手」を指定しないと共有されません(「私の病歴を○○先生に共有して」のように)。メールアドレスや電話番号のような軽い個人情報は、「航空会社ならどこでも」のように相手の種類を指定すれば足ります。
私のおすすめは、メールもSlackも下書きまでで止める運用です。送る最後の1クリックだけ自分でやる。これだけで、安心して任せられる範囲が一気に広がります。
4-4. 通知の交通整理をしておく
dotは、進捗、質問、判断待ちを自分から送ってきます。放っておくと通知が増えるので、どの種類をどこに届けるかを最初に決めておきます。
定例の進捗 → ChatGPTのチャットにためておく
自分の判断が必要なもの → Slackの自分宛DMに
「締切に間に合わない恐れがある」など、割り込んでほしい条件を具体的に伝える
公式ドキュメントにも「定例の進捗はChatGPTに、判断はSlackに」という例がそのまま載っています。
4-5. 止め方は3種類ある(1つ止めても全部は止まらない)
ここは事故が起きやすいので、表にしておきます。

さらに、止めても、すでに実行された操作は元に戻りません。 送ったメール、変更したファイルはそのままです。通話を切っても、頼んだ作業は続きます。
もうひとつ、公式がわざわざ書いている注意があります。「実行が完了と表示されても、頼んだ結果が達成・配信されたことの確認にはならない」。大事な仕事は、完了表示ではなく成果物と出典を見て確認します。
5.私の活用事例|dotsと、ほかのエージェントの使い分け
ここからは実例を!まず私自身の使い方を、Xに書いた投稿と一緒に紹介します。
5-1.【dots】商談30分前の自動レポート
いちばんサクッと使えて便利なのがこれです。
Googleカレンダーの予定を見て、社外の商談が近づくと、開始30分前に準備レポートがスマホに届きます。 16時からの商談なら、15時半ごろにロック画面へ通知が来る。移動中にそれを読むだけで、最新の状況を頭に入れて商談に入れます。
レポートの中身は、こういう見出しで返ってきます。

ポイントは、公開情報と社内情報が1枚にまとまることです。会社概要はWebから、契約や直近のやり取りは接続したメール・Slack・CRMから拾ってきます。人間がやると、ブラウザ・メール・Slack・Salesforceを行き来することになる、地味に時間のかかる作業です。

設定に使ったプロンプトはこれだけです。
Googleカレンダーの社外商談を確認し、開始30分前に準備レポートをこのチャットへ届けて。接続済みのメール・Slack・CRM(Salesforceなど)と公開情報を使い、会社概要、相手の近況、当社との契約・過去のやり取り、直近ニュース、当日の確認事項を短く整理。出典を添え、不明点は推測せず明記。社内会議・キャンセル済み予定は除外して
先ほど紹介した5要素に当てはめると、なぜこれで動くのかが分かります。

① 対象:Googleカレンダーの社外商談
② タイミング:開始30分前
③ 条件:社内会議・キャンセル済みは除外
④ 届け先:このチャット
⑤ 範囲:接続済みのメール・Slack・CRMと公開情報を使って、レポートを作るところまで(送信や更新はしない)
⑥品質の指定出典を添える。不明点は推測せず「不明」と書く
最後の「出典を添え、不明点は推測せず明記」が一番効きます。これを入れないと、分からないところをそれらしく埋めてきます。商談の直前に間違った数字を頭に入れるのが一番まずいので、ここは必ず入れてください!
利用するアプリ(Googleカレンダー、メール、Slack、CRM)は、先に接続しておくとスムーズです。
5-2. 【dots】毎朝のメールまとめ
同じdotに、毎朝のメールまとめも担当させています。上の投稿の2枚目のスクリーンショットにも、dotが「このチャットへの商談レポートと毎朝のメールまとめは、引き続き…」と報告している様子が写っています。1体のdotが複数の担当を並行して持てる、というのはこういうことです。
DevDayのまとめ記事にも書きましたが、Proの人が最初に任せるなら「毎朝のメールとSlackの確認」がおすすめです。
読むだけの担当なので失敗しても影響が小さく、毎日効果を感じられ、dotが自分の仕事の文脈を覚える材料にもなります。
5-3. 【Grok Bot】移動中の予定登録は、いまこれが一番速い
dotsの発表当日の朝、私はGrok Botについてこう書いていました。
投稿のスクリーンショットのとおり、Grok Botでは「予定登録」「チャット返信」「Notionタスク登録」と、用途ごとにBotを分けています。
よくやるのが、メッセージアプリでの日程調整のやり取りを**スクリーンショットで投げて「これ会食候補で登録してて」**と言うだけ、という使い方です。カレンダーに登録されたら、続けて「検索して住所も書いてて、前後の移動も30分とってて」と追い指示を出します。細かい気づかいまで一言で頼めるのが楽です。
良いと感じているのは3点です。
レスポンスが速い
ツール連携が簡単
PCとスマホアプリが連動している
その後もGrok Botは毎日のように機能が増えています。
ロック画面の通知に「2時の予定が三重になっています。変更しますか?」と届き、Yes/Noを選ぶだけで済む先回り提案。チームで共有できるBot、Plaid連携での家計・支出の管理、Cursorへコーディングを引き継ぐ連携も入りました。支出管理は、日本の金融機関にも対応してほしいところです。
5-4. 【Cue】専用の電話番号とメールアドレスを持つエージェント
ManusのCueは、発想が少し違います。チャットボットではなく、専用のメールアドレス・電話番号・クラウドPCを持つ「自分専属のAI社員チーム」。実際に使ってみて、電話番号もメールも持たせられるのは良い感じでした。
これはdotsにはない特徴です。
安全性の部分でも触れましたが、dotsは公開時点でdot専用のメールアドレスを持てません。「エージェントの名前で外とやり取りさせたい」なら、いまはCueのほうが向いています。
5-5. 【Muse】Shopify連携(日本ではまだ使えない)
MetaのMuseは日本では未提供なので、私は触れていません。ただ、9月末に始まったShopify連携は注目に値します。「ブラックフライデーまでに1万件」と伝えるだけで達成プランを作り、現在の件数と残りを計算し、毎週月曜に進捗を確認し、売れ筋のセット販売とSNS投稿の下書きまで出す。個人の生活だけでなく、小さな事業者の「店長代理」まで狙っているのがMuseの面白いところです。
5-6. 【OpenDots】発表から3日でオープンソース版が出た
CopilotKitが公開したOpenDotsは、セルフホストできる常時稼働エージェントのテンプレートです。
ブラウザ・ターミナル・ファイルを操作するComputer use
チャット・通話・Slackを同じAIが横断
プロジェクト単位の「Spaces」と文書の「Pages」
Web・モバイル対応、MITライセンス
READMEを読むと、立ち位置が正直に書いてあります。「ホスト型の製品ではなくテンプレート」で、現在はアルファ版。 自分でアプリを動かし、モデルや音声、Slackの接続を設定する前提です。READMEによれば、必要なのは Node.js 24とnpm。クローンして npm ci → npm run dev で画面が立ち上がり、モデルなどの設定を足すと会話できるようになります。
社内データの扱いに厳しい会社にとっては、dotsに近い体験を自社環境で組める選択肢になります(モデルや音声の接続先をどこにするかは、別途自分で決める必要があります)。
5-7. 現時点の使い分け
dotsやGrok Botのような仕組みは、Claude Codeで意外と簡単に作れます。 だから、個別のツールを大量に覚えるより、Claude CodeやCodexのような汎用性の高いツールを極めるほうが、結果的に強いのかもしれません。
6. コピペで使えるプロンプト集
①は私が実際に使っているものです。②以降は、同じ5要素の型と、公式が紹介している使い方をもとに作ったテンプレートです。接続するアプリ名や時刻は、自分の環境に合わせて書き換えてください。
6-1. 商談30分前レポート
Googleカレンダーの社外商談を確認し、開始30分前に準備レポートをこのチャットへ届けて。接続済みのメール・Slack・CRM(Salesforceなど)と公開情報を使い、会社概要、相手の近況、当社との契約・過去のやり取り、直近ニュース、当日の確認事項を短く整理。出典を添え、不明点は推測せず明記。社内会議・キャンセル済み予定は除外して
6-2. 毎朝のメール仕分け
毎朝8時(日本時間)に、前日18時以降に届いたメールを確認して、このチャットにまとめて。「今日中に返信が必要」「今週中でよい」「読むだけでよい」の3つに分け、それぞれ差出人・要件・期限を1行で。返信が必要なものは下書きを用意して、送信はしないで。広告とニュースレターは件数だけ。平日のみ、まず4週間。設定した内容を確認して
6-3. Slackの未読ダイジェスト
平日の9時と17時(日本時間)に、指定したSlackチャンネルの未読を確認して、自分宛DMにまとめて。自分へのメンション、自分の判断待ちになっている話、期限が決まった話を優先。雑談と完了済みの報告は省略。各項目にスレッドのリンクを付けて。返信はしないで。対象チャンネルは #sales #dev #mgmt。設定した内容を確認して
6-4. 返事待ちのフォロー
自分が社外に送ったメールのうち、3営業日たっても返信がないものを毎朝9時(日本時間)に確認して。相手、件名、送信日、これまでの経緯を1行ずつ一覧にして、催促メールの下書きを用意して。送信は自分でやるので、下書きまで。相手から返信が来たものは一覧から外して
6-5. 週次の振り返り
毎週金曜17時(日本時間)に、今週のカレンダー・送信メール・Slackでの自分の発言をもとに、今週やったこと、決まったこと、来週に持ち越したことを箇条書きでまとめて、このチャットに届けて。数字は出典を付けて、推測で埋めないで。来週月曜の最初にやるべきことを3つ提案して
6-6. 競合・業界ニュースの見張り
次の会社とキーワードについて、新しい発表・値上げ・提携・障害の情報を追いかけて。重要な変化があったときだけ、Slackの自分宛DMで知らせて。公式発表を優先して、出典のURLと発表日を必ず付けて。噂や未確認の情報は「未確認」と書いて。毎週月曜9時(日本時間)には、何もなくても1週間分のまとめを送って。対象:(会社名・キーワードを列挙)
6-7. 会議のあとのToDo抽出
カレンダーの会議が終わったら、その会議の議事録(Google Driveの「議事録」フォルダ)を確認して、決定事項、担当者と期限つきの宿題、未決のまま残った論点を抜き出して、このチャットに届けて。自分が担当の宿題は、カレンダーに「仮」の作業時間を入れて。他の人への連絡はしないで
6-8. 請求・経費の出し忘れチェック
毎月25日の10時(日本時間)に、今月のカレンダーとメールを見て、請求書をまだ出していない仕事、精算していない経費がないか確認して。見つけたら、相手・内容・金額の根拠を一覧にして、請求書の下書きを用意して。送付は自分の承認を待って
これは、公式ブログに載っていた初期テスターの事例(dotが請求書の出し忘れに気づき、作成して、承認後に送った)を、定期チェックの形にしたものです。
6-9. コンテンツの下書き
新しい収録の文字起こしがGoogle Driveの「文字起こし」フォルダに入ったら、切り抜きに向く場面を5つ(開始時刻つき)、概要欄の下書き、X投稿の下書きを3案つくって、このチャットに届けて。投稿はしないで。私の過去の投稿の文体に合わせて。私が直した点は次回から反映して
6-10. フィードバックから修正PRまで(開発者向け)
Slackの #feedback に新しい不具合報告が来たら、内容を調べて、再現手順と原因の見立てをスレッドに返信して。小さな修正で済むものは、Codexのクラウド環境でブランチを切って修正し、テストを通してから、プルリクエストを下書きで作って。マージはしないで。大きな変更になりそうなものは、方針だけ書いて私に確認して
⑩を動かすには、先にCodexでクラウド環境(リポジトリとセットアップ)を作っておく必要があります。
どのテンプレートにも共通しているのは、「どこまでやってよいか」と「どこで止まるか」を書いていることです。dotへの指示でいちばん大事なのはここです。
7.Xで見つけた活用事例集
発表から5日間で、みんなは何を任せたのか。X APIで、発表前後の1週間(9月26日〜10月3日・UTC)の投稿を集めました。重複を除いて3,249件(英語1,674件、日本語1,098件ほか)。そこから「dotに何をやらせて、どうなったか」が具体的に書かれているものを選んでいます。
7-1. いちばん反応が大きかった成功例
まずこれです。「月100ドルは高い」と思いながら契約したら、1年以上放置していた重いタスク、運営している全Webサービスのアップデート、VPSからVercelへの移行まで終わったという報告。終わると次の仕事を求めてくるので「実質タダ」だと。前日の投稿では「半日で全部片付いた」とも書かれています。
dotsの価値がどこにあるかを、いちばん端的に表している事例だと思います。新しいことができるようになるというより、「やるべきだと分かっていて、手を付けられなかったこと」が片付きます。
7-2. 使い方別の事例
dot自身がコードを書くというより、dotを窓口にしてCodexやClaude Codeへ仕事を振る使い方が中心でした。
①ゲーム制作
寝る前に「このサイトにないジャンルのゲームを作っておいて」とだけ頼み、朝には3本完成
② アプリ開発
GitHubのリポジトリとゴールを渡し、進捗をスマホで確認するループで開発
③通話でAI秘書
dotに電話をかけてつなぎっぱなしに。朝のメール確認→話題選び→動画の要約→投稿文の作成まで、すべて声で依頼
④請求書
dotのほうから「今月の請求書が未対応のようです」と声をかけてきた。請求書作成を頼みつつ、Slack返信とスクショ保存も並行
⑤予約忘れ
朝起きたら、dotが新幹線の予約忘れに気づいていた
年末年始のフィジー旅行で、最後の宿だけ違う月で予約していたことをdotが指摘
⑥経理・事務
家計簿アプリから経費を特定し、証憑を集める。「自分で確定申告している人は一見の価値あり」
メールから請求書(インボイス)を見つけ、freeeのMCPで仕訳登録まで。メールで判断できなければAmazonなどへ取りに行かせる
⑦Slackへの依頼・仕分け
Slackのデザイン依頼を仕分けてLinearへ移す自作エージェントを、5分かからずdotに置き換え
とりあえずSlackに入れて、雑にメンション。「同じことはClaude Tagでもできるが、枠が減らず、自分の言うことしか聞かない点が良い」
⑧提携の検討(先行テスター)
以前なら時間がなくて断っていた提携の打診を、dotが検討できる状態にしてくれた。コツは「自分の目標やビジョンをできるだけ多く伝える」こと
⑨3Dモデリング
GPUなし・人の手なしで、dotが自分のクラウドPCのBlenderを動かして宮殿を1棟モデリング。33秒の内覧映像に
Blender入りなので3Dゲームを期待したが、結果は崩れていた
⑩YouTube運営
7チャンネルの日次作業(リサーチ、台本、素材整理、レビュー)を、dotとの1つの会話に集約
7-3. OpenAIの中の人は、どう使っているか
Sam Altman(CEO)
毎晩、メール・カレンダー・Slack・ドキュメント・DMに届いたものをdotが確認。朝に「緊急の用件/返信の下書き/重要な更新/本人の判断が要る事項」をまとめた短い報告を1本送らせる。歩きながら残した音声メモから、複数の案を作らせる使い方も
Tiboさん(OpenAI)
Xを監視して知るべきことを知らせるdot、ドキュメントの問題を見つけて自分でPRを出すdot。OpenAIは「dotsを使ってdotsを作った」
Rohan Varmaさん(開発側)
エンジニアリングでの使い方は2通り。①自分のPCに接続し、dotにデスクトップとCodexアプリを操作させる ②依存関係を定義したクラウド環境に接続し、dotが必要に応じてインスタンスを立ち上げる
Sam Altmanさんの使い方は、私の「毎朝のメールまとめ」とほぼ同じ形です。夜のうちに仕分けさせて、朝に1本だけ読む。いちばん再現しやすく、効果が分かりやすい型だと思います。インタビューの中では、dotを使って初めて「通知やSNSによる注意の奪われ方が、思っていたよりずっとひどくなっていた」と気づいた、という趣旨の話もしていたそうです。
8.パーソナルエージェント5つを横並びで比べる
4か月で主要なAI企業が、ほぼ全社そろって「常時稼働のエージェント」を出したことになります。


8-1. dots(OpenAI)仕事の参謀。最上位モデルを直結した高級路線
強み:GPT-6 Astra。4,000以上のアプリ。権限はChatGPT・Codex・Workと共通で、記憶はChatGPTとつながっている。会話は利用上限に数えない
弱み:月100ドルから。まだ不安定。1人1体。個別の記憶を消せない
向いている人:すでにChatGPTを仕事の中心にしている人。Codexを使う開発者
8-2. Muse(Meta) 無料で配る、生活と小さな事業の代行役
強み:無料で使える(上限あり。有料は月20ドルと月100ドル)。ユーザー専用のクラウドVMとブラウザ。WhatsAppから話しかけられる。同じアカウントセンターにあるFacebook・Instagram・Threadsは自動でつながる。記憶がファイルとして見えて、自分で編集・削除できる。外部推計では、公開から約2週間で累計340万ダウンロード
事業者向け:9月29日に「Muse for Small Business」を発表。Shopify、Stripe、Slack、Notion、QuickBooksなど15種のコネクタと、Instagram・Facebookのビジネスアカウント、広告アカウントにつながります。私がXで紹介したShopify連携はこの一部です
弱み:米国とカナダのみ(18歳以上)。日本については、Metaの日本語ニュースルームが「現時点で未定」と明記しています(日経は「近く日本にも展開」と報道)。モデルの学習への利用は既定でオン(設定で切れます)。企業向けの管理機能は公式文書に見当たりません
公開4週間で起きたこと:Amazonが、エージェントと名乗らずに閲覧することなどを理由にMuseを遮断したと報じられました。Facebook Marketplaceでは、出品対応を任せたユーザーの自宅住所が買い手に送られる事例が報じられました。原因は、最初の承認で「常に許可」を選んだため、以後の返信が確認なしになったこと。Mac版の脆弱性も指摘されています(修正済み)
向いている人:予約、買い物、価格交渉など私生活の用事。小さな店舗やネットショップの運営
Marketplaceの事例は他人事ではありません。「常に許可」は、どのエージェントでも一番危ない選択肢です。dotsでいえば「Take action without asking」。外に何かを送る操作には使わない、と決めておくのが安全です。
8-3. Grok Bot(SpaceXAI) 月20ドルから。複数のBotを最初から並行で動かせる
提供の形:SpaceXAI(旧xAI)の製品ですが、アカウント・課金・クラウド基盤はCursor側。単体プランはなく、Cursor(月20ドル〜)かSuperGrok(月30ドル〜)に同梱されています
強み:安く始められる。用途別にBotをいくつも作れる(1アカウント約50体が目安)。プラグインがないサービスも画面操作で進める。Bloombergによると週間ユーザーは41.8万人(9月14日時点)
弱み:搭載モデルは非公開で、ユーザーは選べない。利用枠は週次リセットで、公式ヘルプ自身が「1時間ごとの実行や混雑したチャンネルのトリガーは、1週間分を1日で使い切り得る」と警告。クラウドPCは米国で稼働
設計上の注意:1ユーザーの全Botが、1台のクラウドPCを共有します。 ファイルもブラウザのログイン状態も共有。公式ドキュメントが「Botを分けてもセキュリティ境界にはならない」と明記しています。用途別にBotを分けても、権限の分離にはなりません
向いている人:まず安く試したい人。移動中の予定登録など、軽い操作を速くこなしたい人
私が「日常の細かい作業はGrok Bot」と書いたのは、この軽さと速さが理由です。
8-4. Cue(Manus) 電話番号・メール・財布を持つ「AI社員」
強み:エージェントごとに専用のメールアドレス・電話番号・ウォレット・PC。転送した電話に代わりに出て、要約を残す。支払いは自分が決めた予算の範囲内。店のQRコードを読むと、その店のエージェントができて注文や順番待ちを頼める
弱み:招待コード制の早期アクセス。搭載モデル、正式な価格、提供国、セキュリティ設計は公式に未公表。海外のレビューでは、電話と決済の機能は対応地域が限られるという報告もあります
向いている人:予約の電話、業者とのやり取りなど、「外との窓口」を任せたい人
dotsが「自分の代理として、自分のアカウントで動く」のに対して、Cueは「エージェント自身が連絡先を持つ」。発想が違います。
8-5. Claude Tag(Anthropic) 個人の秘書ではなく、Slackチャンネルの共有メンバー
強み:チャンネルごとに1つの共有Claudeが、Claude自身のサービスアカウントで動く。記憶はチャンネル単位で、管理者が閲覧・編集・削除できる。頼まれなくても進捗共有や催促をする「アンビエント」動作。外向き通信は既定で拒否。支出上限を組織全体とチャンネル別に設定可能
弱み:Team/Enterprise限定(個人プランでは使えない)。入口はSlackのみ(Teamsは対応予定)。席課金ではなく従量課金で、公式が「タスクあたりの費用の目安は公表していない」と書いている
dotsとの違い:dotsは「1人に1体、専用のクラウドPC」。Claude Tagは「チャンネルに1つ、スレッドごとの使い捨てサンドボックス」。常設のPCは持ちません
向いている人:Slackで仕事が回っているチーム。個人の作業は、Claude本体(旧Cowork)かClaude Codeが担当、というのがAnthropicの整理です
個別の記憶を見られない・消せないdotsに対して、Claude Tagは管理者が記憶を編集できる。ここは企業にとって大きな違いです。
8-6. 安全設計を比べる

dots・Muse・Grok Botに共通しているのは、「別の仕組みが、実行前に審査する」構造です。エージェント本人の判断だけに任せない。エージェントを自社で作ろうとしている人にとっても、ここは設計の参考になります。
8-7. 結局、どれが一番いいのか
「一番いいエージェント」は、性能ではなく自分の仕事のデータがどこにあるかで決まります。そのうえで、日本で、仕事に、いますぐ使うという条件なら、私の答えはこうです。

「性能」で選ばない理由として、5つのエージェントの骨格はほとんど同じです。クラウドのPC、アプリ連携、記憶、スケジュール実行、承認の仕組み。CopilotKitのCEOが言うように、中核機能は共通で、違うのは見せ方です。
となると、差がつくのは次の3点です。
① 入口がどこにあるか。 毎日開いている場所にいるエージェントが、結局いちばん使われます。ChatGPTを開く人はdots、Slackで仕事をするチームはClaude Tagかdots、WhatsAppやInstagramが生活の中心ならMuse。
② 誰の権限で動くか。 dots・Muse・Grok Botは「あなた個人の代理」として、あなたの権限で動きます。Claude Tagは逆で、チャンネルではClaude自身のサービスアカウントで動く「チームの共有メンバー」です。Cueはさらに踏み込んで、エージェント自身が電話番号とメールアドレスを持ちます。個人の秘書がほしいのか、チームの同僚がほしいのか、外向きの窓口がほしいのかで、選ぶものが変わります。
③ コストを誰が負担する設計か。 dotsは月100ドル以上のプランに限定し、Museは無料で配り、Claude Tagは席課金なしの従量課金、Grok Botは月20ドルから。24時間動くクラウドPCのコストを、サブスクで回収するのか、広告事業で吸収するのか、使った分だけ請求するのか。ここは各社の事業構造がそのまま出ています。
9.まとめ
いかがだったでしょうか?
dotsは、頼む前に動いてくれる個人エージェントです。最初の1体は追加料金なしで使えますが、入口はPro 100(月100ドル)で、作成はPCからのみです。動いているときの先回りは強力な一方、まだ不安定な面もあり、料金の全体像も未発表です。個別のツールを追いかけるより、承認ルールの設計と汎用ツールを使いこなす力が長く効く、というのが私の結論です。
9-1. 現時点の弱点
正直に書いておきます。
まだ不安定です。数日先行して使ったEveryのDan Shipperさんは、権限まわりの不具合、メッセージの取りこぼし、dotが自分のブラウザに接続できない、といった問題を挙げて「試すのは1〜2週間待つのがおすすめ」と書いています。一方で、動いているときは「未読のSlackでの話から、カレンダーに載っていない予定の重複を警告してくれた」とも述べています。
基調講演のライブデモでも、音声のやり取りで返事が「確認中」のまま止まる場面がありました。
スマホでは作れません。スマホアプリ対応も「対応アップデートが来てから」です。
個人PCは1台までです。しかもChatGPTアプリを開いたままにしておく必要があります。
EEA・英国・スイスのProは対象外です。18歳未満も使えません。
料金の全体像がまだ見えません。利用枠の拡大は最初の1か月だけで、その後の上限や、追加dotの価格は未発表です。
9-2. いちばん大事なのは汎用ツールを使いこなす力
先ほどパーソナルエージェントを5つを比べておいて言うのも何ですが、私の本音はこれです。
dotsやGrok Botのような仕組みは、Claude Codeで意外と簡単に作れます。個別のツールを大量に覚えるより、Claude CodeやCodexのような汎用性の高いツールを極めるほうが、結果的に強いと考えています。理由は3つあります。
ツールは毎月入れ替わります。8月にGrok Bot、9月にMuse・Cue・dots。来月もきっと何か出ます。全部追いかけて乗り換えるのは現実的ではありません。
身につく技術は共通です。「何を見張らせるか」「どこまで任せるか」「どこで止めるか」を言葉にする力は、どのエージェントでも同じように効きます。第3章の5要素は、そのままGrok BotにもClaude Tagにも使えます。
重い仕事は、結局Codex/Claude Codeがやっています。Xの事例でも、dotは「指揮役」で、実作業はCodexやClaude Codeに振る使い方が中心でした。
だから私の使い分けは、重い作業はCodex/Claude Code、見張りと先回りはdots、日常の軽い操作はGrok Botです。パーソナルエージェントは「汎用ツールへの入口が1つ増えた」と捉えるのが、いまはちょうどいいと思います。
9-3. 会社で入れるなら、この順番で
法人で検討している方へ。機能の比較より先に、決めることがあります。
どのデータを触らせるかを決める。メールとカレンダーだけか、CRMや共有ドライブまでか。
承認ルールを先に書く。社外への送信、削除、購入は誰が承認するか。dotsならカスタムルール、Claude Tagなら支出上限とチャンネル単位の権限です。
読むだけの担当から始める。毎朝のまとめ、商談前レポート、未読の整理など、書き込みや送信を伴わない仕事で、精度と癖を見ます。
1人ではなく3〜5人で同時に始める。社内で使い方を見せ合うと、広がり方が変わります。
1か月後に料金と枠を見直す。dotsの利用枠の拡大は最初の1か月だけです。Claude Tagは従量課金で単価の目安がありません。使い方が固まってから、コストを測ります。
「頼む前に動くAIに、どこまで任せるか」。この設計ができる会社と、できない会社で、来年の生産性に大きな差がつくと思っています。
Reply